慢性膝痛と内側広筋の機能不全:鍼治療とトレーニングで改善を目指す
膝の痛みが長引いてしまう場合、ただ関節や軟骨が問題となっているだけではありません。
実は、太ももの内側にある「内側広筋(ないそくこうきん)」という筋肉が機能不全を起こすことが、痛みを慢性化させる大きな要因の一つです。
この記事では、なぜ内側広筋が使われなくなるのか、またそのままにしておくとどのような影響が出るのか、さらに改善のためのアプローチについて詳しく解説します。
内側広筋とは?
内側広筋は、大腿四頭筋の内側に位置する筋肉で、膝を伸ばす動作や膝蓋骨(お皿)の内側への安定化に重要な役割を果たします。
特に、膝を完全に伸ばす最後の数度(ターミナルエクステンション)で強く働くため、歩行や階段の上り下り、立ち上がり動作など日常生活に欠かせません。
慢性膝痛で内側広筋が使われなくなる理由
1. 痛みによる神経的抑制
膝に炎症や痛みがあると、脳は「これ以上傷めないように」と反射的に筋肉への指令を弱めます。特に内側広筋は膝を伸ばす際に最初に働くため、抑制の影響を強く受けやすい筋肉です。
2. 外側優位の歩行や姿勢
痛みを避けるために膝をかばった歩き方が続くと、大腿外側の筋肉(外側広筋や大腿筋膜張筋)が優位に働き、内側広筋はさらに使われなくなります。
3. 神経伝達の低下
痛みや腫れが長期間続くと、神経系の適応が起こり、内側広筋への命令が届きにくくなる「筋抑制」が進行します。
内側広筋が使われないと起こる問題
1. 膝蓋骨の動きが乱れる
内側広筋は膝蓋骨を内側に引き寄せて動きを安定させています。機能が低下すると外側にずれ、膝蓋大腿関節に過剰な摩擦がかかります。
2. 膝の安定性が低下する
膝を伸ばしきる力が弱くなるため、歩行時に膝がロックされず、膝関節に負担がかかりやすくなります。
3. 慢性痛の悪循環に陥る
痛み → 内側広筋が使われない → 膝の動きが悪化 → さらに痛みが出る → ますます使われない、という負のループが形成されます。
改善のためのアプローチ
1. 鍼治療で痛みと炎症を抑える
まずは鍼治療で炎症や筋緊張を和らげ、神経抑制を解除しやすい状態を作ります。
2. 内側広筋のトレーニング
鍼治療と並行して、内側広筋を目覚めさせるトレーニングを行います。
例:
- タオルやボールを膝に挟んでの膝伸ばし
- 足首を外旋させたままのレッグエクステンション
- 軽いスクワットで内側に意識を集中
3. 正しい歩行・動作の習得
外側優位の使い方を修正し、内側広筋が自然に働く動作パターンを身につけます。
まとめ
慢性膝痛の改善には、痛みを取るだけでなく、内側広筋の機能を回復させることが重要です。
鍼治療で炎症を鎮めつつ、正しいトレーニングで筋肉を再教育することで、膝の安定性が高まり、痛みの再発を防ぐことができます。
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