「獣には時の概念がない。獣には、昨日は良かったも明日はなんとかなるだろうもない。
獣にあるのは、今とここだけだからだ。だから迷わない。
不安もない。不安は時が作るもの。」
この言葉を初めて読んだとき、胸の奥が静かに震えました。
獣-つまり動物には、人間のように「昨日を悔やむ」ことも「明日を心配する」こともありません。
そこにあるのはただ、「今、この瞬間」だけです。生きるということが、まるで純粋です。
では、私たち人間にとっての「不安」とは何なのでしょうか。
■ 「時間」がもたらす人間の特権と代償
人間は、過去を記憶し、未来を想像する能力を持っています。
この能力は、文明や技術、文化を築く上で欠かせないものでした。
けれども同時に、それは「苦しみ」を生む根でもあります。
後悔、懺悔、焦燥、期待、不安、すべては時間の流れの中に生まれます。
未来に何か悪いことが起きるかもしれない。
過去の選択を間違えたのではないか。
このような思考は、今この瞬間に対する注意を引き離し、心を不安で満たします。
■ 「今・ここ」にとどまるという生き方
マインドフルネスや禅の教えでは、「今・ここに意識を戻す」ことの大切さが説かれます。
それはまさに、獣のように「ただ今を生きる」こと。
飢えたら食べる、疲れたら眠る。
外の風に耳を澄まし、目の前の小さな花に気づく。
その一瞬に自分の意識が100%あるとき、人は不思議と「不安」を感じなくなります。
■ 不安は「敵」ではなく「羅針盤」
とはいえ、不安を完全に排除することが目的ではありません。
不安は未来を思い描ける人間だけが持つ、大切な感情でもあります。
それは、ときに私たちに準備を促し、注意を向けさせ、成長の方向を指し示すものです。
だからこそ、不安を感じたときは、「ああ、自分はいま未来に心を飛ばしているんだな」と気づいてください。
そして、「今に戻る」技術を持っていれば、その不安に飲み込まれずにすむでしょう。
■ 終わりに――獣の静けさと人間の悩みの間で
獣は迷わない。
それは「今だけを生きている」から。
人間は迷う。
それは「時間の中を生きている」から。
けれど、だからこそ私たちには、思い出を紡ぎ、未来を描く力がある。
その力に苦しみながらも、時折は「今・ここ」に戻ることで、少しだけ心を軽くできるかもしれません。
私は咸宜塾BE研修という「世界一厳しいと言われる山の研修」に入りました。
未見の我。
苦しみや去勢はこの山に捨てることができる。
そしてシャバに戻って、山で経験したことをシャバで自分と向き合う。
常にじゃなくても、今この瞬間に命燃やせる時間を作っていきましょう。
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