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2025/05/04

「鍼とお灸の使い分け」〜虚実の見極めと臨床15年の経験から〜

当院ではトリガーポイント療法をメインに治療を行っておりますが、症状や体質に応じてお灸を使うこともあります。

特に婦人科領域の治療では、鍼よりもお灸をメインに施術を行っております。

中でも「逆子の灸」は広く知られており、当院でも36週の逆子が改善した症例があります。

また、更年期障害やPMS(月経前症候群)などの婦人科疾患においても、お灸との相性は非常に良いと感じています。

私は臨床歴15年以上になり、自分自身の「経験医学」を持っています。

トリガーポイント療法が基本ではありますが、それだけに偏ると「頭でっかち」になってしまうため、日々さまざまな分野を学び、臨床に活かしています。

まさに日々進化です。

長年臨床を続けていると、

「この症状はすぐに良くなりそう」

「これは少し時間がかかりそうだな」

といったことが経験的に判断できるようになります。

痛みやしびれに関しては、ほとんどの症状が改善するという実感があります。

一方で、それ以外の症状では「改善に時間がかかるかもしれない」「改善しなかったらどうしよう」と感じることもあります。

私は日々、

治療 → 結果 → 検証 → 仮説を立てる → 再び治療

という流れを繰り返しています。

現時点での仮説では、

  • 実証には「鍼」が100%効果的
  • 虚証には「鍼+お灸」の併用が有効
    と考えています。
  • 虚証とは…生命力や抵抗力など、本来の体の機能が低下して不健康になっている状態。
  • 実証とは…外からの有害なもの(邪)が体内に侵入・充満して不健康になっている状態。

鍼は基本的に「瀉法(しゃほう)」、すなわち余分なものを取り除く作用があるため、実証に適しています。

一方で、虚証の傾向がある患者様には鍼の効果が出にくいと感じることがあり、瀉ではなく補う目的で今年からお灸を加えることで検証を進めています。

すでに成果が出ており、今後もこのアプローチを継続・発展させていきたいと考えています。

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