腰方形筋の本当の役割とは?
姿勢・歩行・座位での働き
今回は腰痛や姿勢の安定に深く関わる「腰方形筋について解説します。臨床でも見落とされがちですが、実はとても重要な筋肉です。
腰方形筋とは?
腰方形筋は、腰椎の両脇にある深部の筋肉です。腸骨から第12肋骨、さらに腰椎横突起に付着し、体幹の安定や骨盤のコントロールに大きな役割を果たします。
意識して動かすことは少ないですが、私たちが日常生活を送る上で欠かせない裏方の筋肉です。
姿勢・動作別の役割
1. 立位
- 両側の腰方形筋が働いて腰椎を支え、体幹を垂直に保ちます。
- 重心が左右に偏ったときには、同側の腰方形筋が収縮してバランスを修正します。
👉 長時間の立ち仕事で腰が疲れるのは、腰方形筋が働き続けているからでもあります。
2. 歩行
立脚側(体重を支える側)
- 骨盤を安定させ、反対側の骨盤が落ちるのを防ぎます。
- この働きが弱いと「トレンデレンブルグ徴候」のように骨盤が沈み、歩容が崩れます。
- 歩行安定の要となる重要な働きです。
遊脚側(足を振り出す側)
- 地面に足先が引っかからないようにする補助的な役割を担います。
👉 まとめると「立脚側での安定が主役」「遊脚側は補助」という位置づけです。
3. 座位
- 骨盤と腰椎を支え、体幹が左右に傾くのを防ぎます。
- 特にデスクワークで片側に体重をかける癖があると、腰方形筋が過緊張を起こしやすくなり、慢性腰痛の原因に。
- また、第12肋骨を固定するため、横隔膜の働きを助ける「呼吸補助筋」としても働きます。
腰方形筋が不調を起こすと…
- 腰のだるさ、ぎっくり腰の反復
- 歩行時の骨盤の不安定感
- 臀部や大腿外側への放散痛
- 慢性的な腰痛
特に「中殿筋の弱さを腰方形筋が代償してしまう」ケースは非常に多く、治療・運動療法の際に見落とせません。
※特に高齢者
まとめ
腰方形筋は、
- 立位では体幹の安定
- 歩行では立脚側の骨盤安定(+遊脚側の骨盤挙上)
- 座位では体幹支持と呼吸補助
というように、日常生活のあらゆる場面で働いています。
腰痛の原因を探るとき、腰方形筋の緊張や弱化を見逃さないことがとても大切です。
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